嵐渓荘のある新潟県下田村から三条市へ、そして日本海へと流れる五十嵐川は、鮎や山女の漁場としても知られている。その支流が守門川である。清流は見ているだけで爽やかだ。紅葉の季節には、山も色づき美しさを増す。
 宿に入るには、長さ約20mの吊り橋を渡ることになる。眼下に守門川のせせらぎを眺めながら、吊り橋に揺られて歩いていく。敷地内にも小川が流れ、水車が回っている。炭焼き小屋もあり、そこでは実際に炭が焼かれていた。
↑燕市で大正末に建築された木造3階建ての料亭を、昭和30年に2年がかりで移築した。下の写真の部屋は建物の3階にある。
 純和風の造りの外観ながら、ロビーには、ゆったりした空間に洋風の椅子が並び、バー・カウンターまである。 ここで若主人の大竹啓五さん(30歳)に話を伺った。
 「当館は水が美味しいんですよ。天然の湧き水100%なんです。なにしろ水道が引かれていないんです。お手洗いに流す水も天然の湧き水です」(笑)
 水が旨ければ、料理も旨いのは道理である。川魚、山菜などの素朴な料理が並び、天ぷらは揚げたての熱々のものが運ばれてきた。
ぜんまい一本煮。下田村で採れたぜんまいを、切らないで一本のまま煮る。これが当地のごちそうで、もてなし料理である。→
温泉粥

 

塩辛い温泉水

 この宿の温泉水はかなり塩辛い。湯1Lあたりに16gもの塩が含まれているのだという。入浴した後、湯冷めしないのも特徴のひとつだ。飲用するには4倍ほどに薄めて一度沸騰させる。それを飲めば胃腸の調子も良くなるという。これはこの温泉の成分のひとつであるマグネシウムが制酸作用を持っているからといわれる。

 朝を迎えて、目当ての温泉粥を待った。まずはそのまま、ひと口食す。ねっとりとした、優しい米の感触を味わった後、下に絶妙な塩加減を感じる。 しかし塩だけでは、作ることのできない味であることに気づく。

 コクがあるのだ。
 この温泉にはロール・カリウム、クローム・ナトリウム、ヨード・ナトリウムなど13種類のミネラル成分が含まれる。「昆布茶のような味のする温泉粥といわれるのは、13種類のミネラル分と塩分が合わさって、塩辛いだけではない複雑な味になっているからなのでしょう」(大竹さん)
 もともと粥は胃に優しいが、更にマグネシウムが加わったおかげか、食べるほどに胃がすっきりする感じ。沢山食べられる体に優しい温泉粥だ。